Company CTO Talk #1 で「事業部CTOの現在地」についてパネルディスカッションをしました


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本エントリは EM Advent Calendar 2024 (2) 12/19 の記事です。

GMOペパボ株式会社 ホスティング事業部 事業部CTOの @takumakume です。

Company CTO Talk #1 カンパニー・事業部CTOの役割とリーダーシップ に登壇したので、そこでお話したことを共有します。

@takumakume が登壇したパートは、株式会社LayerX バクラク事業部 CTOの中川さんと、GMOペパボ株式会社 EC事業部 事業部CTO の @yammer によるパネルディスカッションです。

  • タイトル: 「事業部CTOの現在地」
  • テーマ
    • 事業の紹介と事業部CTOに求められていること
    • 事業が抱える課題と現在地

記録として、イベントで使ったスライドは以下に置いています。

当日、私がお話したことや、ディスカッションしたことを中心にお話します。

事業の紹介と事業部CTOに求められていること

事業の紹介

GMOペパボ株式会社のホスティング事業部では以下のように7プロダクトを提供しています。

一番古いサービスは「ロリポップ!」で2001年からサービスを提供しており、23周年を迎えました。新規事業開発も行っており、最近では「ロリポップ!for Gamers」を2024年2月から提供開始しています。

GMOペパボは「人類のアウトプットを増やす」をミッションに掲げています。ホスティング事業部は「技術の力でアウトプットのハードルを下げる」

23年前にロリポップ!をリリースした当時の例を挙げると、Webサイトを公開するまでには高額な費用と申込みの手間や時間がかかるという課題がありました。ロリポップ!は、数百円から使える安価なサービスで簡単に申し込めてすぐに使えるサービスとしてWebサイトの公開のハードルを下げるというものでした。

今年はロリポップ!for Gamersをリリースしまして、簡単かつ安価にゲームサーバの構築や管理ができるサービスとして皆様にご利用いただいています。

事業部CTOに求められていること

事業部CTOに求められていることは様々ありますが、当日お話したことは「ペパボエンジニアバリュー」を体現すること、組織に根付かせることについてです。

エンジニアが大切にする価値観を次のように定義しています。

  • すべてが自分ごと: チームの課題は私の課題、サービスの課題も私の課題、会社の課題だって私の課題。組織の垣根を越えて課題解決に取り組もう。
  • 最高・最速の両立: 最高の体験を最速で提供することで、ユーザーの期待を超え、熱狂を生み出そう。現状に満足せず、常に最高と最速を更新し続けよう。
  • アウトプット前提: “人類のアウトプットを増やす"ミッションを背負っている私たちはアウトプットするのがデフォルト。常に新しい表現活動に挑戦し続けよう。

特に「すべては自分ごと」についてお話しました。

目標達成をするために組織で同じ方向に進むときに、役割や職種によって仕事の境界線をパキッと引くことはできないと思っています。必ずどこかが重なっています。

そこで、エンジニア側・ビジネス側・経営側など線引きをしてしまうと「これは自分の仕事ではない」という領域が生まれてしまい、目標達成をすることができなくなります。

例えば、社長の場合は会社で起きるあらゆることが自分ごとであると思います。それと同じように、組織全体が「側」を作らないように、まずは自分自身が体現するということが求められています。

補足

ペパボの事業部CTOに求められること

事業部CTOの役割と求められるリーダーシップ - @kurotaky (SUZURI事業部CTO)」をご参照ください。

「最高・最速の両立」について

「最高・最速の両立」は一体どういうことなのかと思った方もいらっしゃると思ったので説明をしたいと思います。アジャイルにおける「荒ぶる四天王(スコープ・予算・時間・品質)」を全て最優先で最高にしましょうという話ではないです。

以下は、ホスティング事業部のエンジニア向けにお話した資料の抜粋です。

  • 最速・最高の両方を提案する
    • どちらにも当てはまらない提案になっていないか?
    • どちらか片方の提案になっていないか?
  • 最速→最高の順で実現する

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例えば、最高の提案なしに最速の提案をするというのはよくあるかもしれません。「一旦、このテーブル設計でいいですか?」

これは「最高」を見据えた設計を考えることを放棄して押し付けてしまっているとも言えます。これでは、その次を目指すときに速が落ちてしまいます。

事業が抱える課題と現在地

事業の紹介で書いたように、ホスティング事業部は20年以上の歴史を持つサービスを筆頭に7プロダクトを提供しています。

20年の歴史を重ねる中で、以下のような問題があります。

  • 市場の変化による成長の停滞、一方で全社の売上を大きく支えている
  • サービスの老朽化、開発速度の低下、セキュリティリスクの上昇

これらを解決するために、大きく以下の取り組みをしています。

  • 新規事業開発、新たな収益の柱を創出する
  • 老朽化したアプリケーションのリプレイス・統廃合・ソフトウェアアップデート

新規事業開発、新たな収益の柱を創出する

従来のWebホスティングやドメイン事業のみならず、新たな成長市場に参入していきます。ロリポップ!for Gamersもその1つで、マインクラフトの根強い人気やインディーゲームのホスティング需要などこれまでリーチできていなかったユーザにアプローチをしました。その他にも新規事業開発を継続的に行っています。

ロリポップ!for Gamersの立ち上げについては、以下のスライドをご参照ください。

老朽化したアプリケーションのリプレイス・統廃合・ソフトウェアアップデート

これまでベアメタルやVMを用いて各Webアプリケーションを実行していました。それらを管理するためにTerraformやPuppet, ChefなどInfrastructure as a Codeの技術を使ってオペレーションしていました。この方法は多大な時間とインフラの高度なオペレーション技術を要しておりメンテナンス性が低い状態です。

現在は各アプリケーションのコンテナ化とKubernetesへの移行を行い、GitOpsによるインフラ管理を確立させ、メンテナンス性を上げることでソフトウェアの継続的な更新を行える環境を構築していっております。

この取り組みについては、以下のスライドをご参照ください。

さいごに

Company CTO Talk #1 における takumakume の登壇レポートでした。

本イベントは継続的に行っていく予定ですので、ご興味がある方は是非次回ご参加ください!